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第38回大会 準備委員長 吉川 眞理(学習院大学) |
寒さが少しずつ緩んで樹皮の下では芽吹きの準備が始まる季節、皆様におかれましてはお健やかにお過ごしのこととお慶び申し上げます。
このたび、日本箱庭療法学会第38回大会を2025年10月25日・26日に、学習院大学の主催で開催させていただく運びとなりました(Zoomによるハイブリッド形式で行います)。
本大会は「日本の心の原風景」というテーマで、箱庭療法と日本の心とのつながりについて思いを巡らせてみたいと思います。箱庭療法は、スイスのカルフ夫人のもとで箱庭を体験した河合隼雄氏によって日本に紹介されました。砂箱にいろいろなミニチュア玩具を置く、自由で守られた表現の場を提供する心理療法は、欧米ではSandspiel, Sand Playとして知られるようになりました。
河合隼雄氏は、この療法を、日本における箱庭遊びの伝統をふまえて「箱庭療法」と名づけて日本に紹介したのでした。「箱庭遊びの伝統」とは何か?この謎を解くヒントを求めて、一般公開される大会シンポジウムでは、「日本の心の原風景の系譜―洲浜台から箱庭へ−」と題し、静岡大学人文社会科学部の原瑠璃彦氏に基調講演をお願いします。
原瑠璃彦氏は、その著書『洲浜論』(第74回芸術選奨文部科学大臣新人賞受賞)において、「『洲浜』という語は、洲が曲線を描きながら出入りする海辺を指す。洲浜台とは、この洲浜のかたちをかたどった台であり、その上に和歌的表象のミニチュアが置かれる箱庭のようなものであった」と紹介されています。指定討論は、京都こころ研究所の河合俊雄氏をお招きするとともに学習院大学の川嵜克哲がつとめます。
学習院大学は山手線の目白駅下車すぐに位置しておりますが、小さいながらも武蔵野原野の樹々の風情を今に伝える緑豊かなキャンパスです。皆さまのお越しを心よりお待ちしております。
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